綱領・運動方針

綱領

  1. わたしたちは、加盟組合の自主性を尊重し、「自立」と「連帯」を基本とする信頼・協業関係を基本に交流を深め、民主的な活動をおこないます。
  1. わたしたちは、生産性向上による企業の健全な発展の実現にむけて取り組み、グループ各社に働く仲間の総合福祉条件の維持・向上を通じて、豊かで潤いある生活の実現をめざします。
  1. わたしたちは、加盟組合参加による公正な組織運営に努め、綱領、規約、運動方針を遵守し、自主的な団体として活動をおこないます。
  1. わたしたちは、労使相互の立場を尊重し、対等の立場に立った労使協議をおこない、民主的労使関係を確立します。
  1. わたしたちは、組織と活動の社会性・公共性を強く認識し、各加盟組合および組合員相互の協力により、豊かな地域社会の実現にむけて貢献していきます。
  1. わたしたちは、労働組合本来の機能を失うような政治活動や特定政党・団体に対する支持・決定はおこなわず、主体性を堅持した活動をおこないます。
  1. わたしたちは、働く者全体の福祉の向上と社会的地位向上をはかるため、必要に応じ組織としての主体性をもって、基本的理念および目的を同じにする他労組・他団体との交流・連帯をはかります。

運動方針(2024年度)

 1.環境認識

(1)社会・経済環境

 国内景気は、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴い、緩やかに回復基調にあります。2023 年 4~6 月期(1 次速報)のGDPは、内需の柱である個人消費が3四半期ぶりにマイナスに転じたものの、自動車輸出やインバウンド消費の増加により、外需が大幅に増加したことで、前期比+1.5%(年率換算+6.0%)と3四半期連続でのプラス成長となりました。

 今後の見通しとして、外需については、海外経済の減速や世界的なIT関連財の需要低迷の長期化で輸出が減少するリスクを孕んでいますが、円安を背景としながら、中国が日本への団体旅行を解禁したことによるインバウンド需要増が追い風となり、消費の押し上げが進んでいます。内需については、社会経済活動を受けた民間消費が、対面型サービスを中心に回復するとともに、設備投資は高水準の企業収益を背景に増加傾向にあるなど、日本経済は緩やかな回復が見込まれています。

(2)流通・小売業界の動向

 国内の小売・流通市場は、小売業全体の販売額を見ると、外出機会の増加にくわえ、インバウンド需要の回復、自動車などの生産調整が緩和されたことや、各商品の価格改定も要因となり、対前年+5.9%と16ヵ月連続で増加しています。業態別では、医薬品・化粧品を扱うドラッグストアや食品を中心に扱うスーパー、高額品を扱う百貨店、何れも前年を上回る状況が見られることから、経産省は小売業販売の基調判断を上昇傾向にあるとしています。

 また、2022年の日本国内BtoCのEC市場規模は22.7 兆円(対前年+9.9%)と拡大を続けています。分野別に見ると、食品、生活雑貨、衣服など物販系分野も伸長していますが、今後は、サービス系分野(旅行サービス他)が回復している傾向の継続にくわえ、楽天など大手ECモールの成長加速や、製造者が直販するD2Cの拡大も予見されるなど、今後も更なる市場拡大が見込まれています。

 相次ぐ値上げによる購買意欲の低下が懸念されるなか、消費者の意識がマスからよりニッチなマーケットへと細分化が進むとともに、所有からシェアへの価値観のシフトもあるなど、顧客ニーズの動向・意識が大きく変化しています。小売・流通各社は、変化する顧客動向・心理を理解しながら、オンラインとオフラインを含めた販促&宣伝をおこなう発想を持ちつつ、価格訴求だけではない実店舗ならではの価値を提供することが求められています。

(3)雇用・労働情勢  

 雇用情勢は、2023年7月の有効求人倍率が1.29倍となり、前の月を3カ月連続で下回る結果となりました。理由としては、物価高の影響もあり、ダブルワークや転職希望者など求職者数が増加するなか、求人数は宿泊・飲食サービス業など増加しているものの、原材料費や光熱費の高騰により、建設業や製造業が大きく減少していることが影響しています。今後の雇用情勢は、経済活動の正常化の進展もあり、緩やかに改善していく動きがある一方で、各企業の人材確保にむけた採用活動や人材定着を目的とした取り組みが進められています。

 賃金動向は、6月の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額は+2.3%となりましたが、実質賃金指数 では、現金給与総額は対前年▲1.6%、きまって支給する給与は対前年▲2.4%となり、ともに前年に対して減少しています。実質賃金は、今年の春闘での主要企業の賃上げ率(定期昇給分を含む)が 30 年ぶりの高水準となったこともあり、その減少幅は縮小しているものの、15 ヵ月連続でマイナスするなど、名目賃金の上昇率が物価上昇率に追いつかない状況が継続しています。

(4)日本の労働組合と産業別組織の現状 

日本の労働組合員数は、労働組合基礎調査【厚生労働省発表】によると、2022年6月30 日現在999万2千人(前年比8万6千人減)と昨年までの増加傾向から一転し減少しています。また、推定組織率は16.5%(前年比▲0.4pt)と低下しています。

 産業別組織の「UAゼンセン」(2023年9月現在)は2,237組合、組合員数 185万人超となり、着実に組織拡大を進めています。

 UAゼンセン流通部門では、主要5政策として、「①環境政策としてエネルギー課題に対して研究を進める」「②休日保育の拡充を中心に、子ども子育ての充実」「③悪質クレーム対策の啓発活動を継続実施し、法制化に向けた取り組みを推進する」「④店休日(営業休日)ならびに正月営業休日の法定休業化に向けた取り組みを推進する」「⑤流通産業のデジタル化を踏まえた生産性向上の取り組みを推進する」の5つを掲げ、流通・小売産業特有の課題解決や発展にむけた政策実現をめざして取り組みを推進しています。

(5)JFRグループの現況・先行き 

 JFRグループは、先行き不透明な経営環境のもと、2023年のあるべき企業グループ・企業像を描きながら、その実現にむけた戦略の方向性を示すとともに、コロナ禍前の2019年度水準への“完全復活”と、2024年度以降の“再成長”にむけた道筋をつける位置づけとして、(2021-2023)現中期経営計画を策定しました。資源価格の高騰による当初計画外の急激なコスト増を主要因として、コロナ前業績における「完全復活」を持ち越し、利益目標を修正するものの、最終年度では、連結事業利益400億、ROE7%、ROIC4.6%の達成を目指しています。

 2023年度がスタートするなか、第1四半期業績結果は、主力となる百貨店事業・SC事業ともにエネルギーコスト上昇による経費増の影響を受けましたが、人流の回復などを追い風にして、連結業績は総額売上高・売上収益は増収、事業利益や営業利益の各利益段階でも増益を確保し、計画どおりの進捗で推移しています。ただし、事業会社や事業所単位では、業績回復状況にバラつきがあるものと認識しています。

 重点戦略については、デベロッパー戦略の推進として、J.フロント都市開発を設立やCRE戦略統括部を設置がされるとともに、名古屋・心斎橋エリアの商業施設の開発と並行して、非商業施設(レジデンスなど)の開発などの取り組みがされています。また、CVCファンドを起点とした既存事業とスタートアップとの連携、メタバース領域への挑戦などの取り組みも進められています。

 現在、2024年度以降の新たな中期経営計画の策定が進められているなかで、現中計におけるデベロッパー戦略・プライムライフ戦略・リアル×デジタル戦略・継続的な構造改革による基本路線は踏襲される方針です。

 グループとしての成長にむけては、リテールに依存しない事業構造の変革を果たすために、ポートフォリオ変革にむけた各取り組みについて、よりスピード感もって具現化していくことが必要であり、それにむけた人財の確保や教育が重要性が増すものと考えます。

(6)JFR グループ労連の現状 

JFRグループ労連は、2008年10月に加盟組合 14組合・加盟組合員数約13,500名の体制でスタートして以降、グループ内での企業統合やグループ企業の株式譲渡といった会社の動きをふまえた加盟組合の脱退・解散により加盟組合数の減少が続いています。

現在は、大丸松坂屋百貨店労働組合・博多大丸労働組合・高知大丸労働組合・J.フロント建装労働組合・HMKロジサービス労働組合・大丸興業労働組合の6組合、加盟組合員数は約5,500名(2023年9月末時点)となる組織状況にあります。また、会社の機能分化(分社化)や新会社設立が進んだ結果、未組織企業数が増加したことなどを要因に、グループ企業のうち約7割の企業が未組織との状況にあります。

組織要員含めた構造改革をすすめるなど、組合員数が減少等するなかで、各加盟組合とも次世代の執行部を担う組合役員の確保・定着や、中核役員の育成などに課題を抱える状況にあると認識しています。また、組合員数減少の影響は、組合財政にも影響が及んでおり、複数の加盟組合が単年度収支赤字の予算設定をせざるをえない状況です。

組合諸活動の推進にむけ、また、持続可能な組織であるために、組織基盤の維持・強化、組合組織力の向上などは喫緊の課題であると認識します。

 2.2024活動年度 運動方針の基本的考え方 

諸活動の推進にむけ、グループ労連と加盟単組における「強固な組合組織基盤」は不可欠!「加盟組合の活動支援」と「組合員のサポート」「執行部の人材育成」の取り組みを引き続き強化します。

数年に渡って長らく猛威をふるってきた新型コロナウイルス感染症は、私たちの社会経済活動に大きな影響をおよぼしてきましたが、2023年は3月からのマスク着用が個人の判断に委ねられたことに加えて、5月から感染症法で5類に移行したことで、わたしたちを取り巻く環境は大きく転換しました。

JFRグループ全体の企業業績は、着実にコロナ前の水準に回復する状況にあります。その一方で、事業会社・事業所単位では、その回復状況にばらつきがあり、各社の完全復活にむけては回復途上にあるとも認識しています。

来る2024年3月には、企業として新年度を迎えるとともに、新たな中期経営計画のスタートの年度となります。JFRグループとして今後さらなる成長・発展を目指していくうえでは、世の中のすさまじい変化スピードに対応して、ホールディングス・各事業会社の連携のもと、それぞれにおいて戦略・施策を着実に実行・推進していくことが重要と考えます。

このようななかで、グループ労連として2024活動年度については、企業の業績回復と将来にわたる成長・発展を通じて、私たちの雇用・生活を確かなものにするために、加盟組合が「自主・自決」にもとづく取り組みを進められる強固な組合組織基盤の確立へむけた取り組み強化が不可欠と考えます。労働組合としての諸活動を確実・円滑に推進するために、JFRグループ労連としては、加盟組合との連携が重要と考え、「加盟組合の活動支援」に注力して取り組みます。

また、企業の成長戦略の推進・実践を担うのはJFRグループで働く私たち組合員・従業員であることから、グループ全体の成長実現に向けては、私たち一人ひとりの成長が不可欠です。組合員の能力開発やキャリアアップの支援にむけ、各種セミナーを実施します。そのための財源として能力開発事業基金を設立し、事業の安定的継続に努めます。同時に、企業の現況や先行き、社会の変容や価値観の多様化がすすむなか、労働組合として「組合員をサポート」していくことが重要と考え、ライフプラン設計や自己啓発など、具体的な取り組みを展開していきます。

くわえて、労働組合が将来にわたり持続可能な組織として存続・発展していくために、その推進主体となる労連執行部および加盟組合における「執行部の人材育成」にむけて、グループ労連としての取り組みをとりわけ強化し、組合組織基盤の維持・強化をはかります。

 3.具体的な取り組み

(1)組織強化・組織活動の取り組み

労働組合として諸活動を確実かつ円滑に実践していくためには、強固な組合組織基盤の維持・強化が不可欠です。各加盟組合による「自主・自決」にもとづく取り組みの推進にむけ、グループ労連として連携強化と活動支援をはかります。また、労働組合が将来にわたり持続可能な組織として、活動を着実に推進するために、組合諸活動を推進する労連執行部および加盟組合執行部の人材育成に注力します。くわえて、企業の現況や先行き、社会の変容や価値観の多様化がすすむなか、労働組合として組合員をサポートしていくことも重要と考え、具体的な取り組みを展開していきます。

①グループ労連・加盟組合における連携強化

・加盟組合間の情報共有・相互理解

 →執行委員会や書記長会議における情報・ノウハウ共有
 →各加盟組合の執行役員同士の交流を深めるための取り組み推進

・グループ労連と各加盟組合の連携強化

 →グループ労連執行部による各加盟組合が開催する執行委員会への参画など、各社労使・労組の課題解決へむけた支援

②組合役員人材の育成

・加盟組合役員を対象とした研修・教育・気づきの場の提供

 →新任役員を対象とした教育活動の実施
 →中堅役員を対象とした研修カリキュラムの実施
 →中核役員を対象とした専門知識習得機会の実施

③組合員のサポート

・ライフプラン設計や自己啓発等、組合員のサポートへむけた具体的な取り組みの展開

 →UAゼンセン任意共済の周知と加入促進活動の実施
 →組合員の知見拡大や、ライフプラン設計、心身の健康維持・増進等を目的としたセミナーの開催

④組合員・従業員にむけた情報発信

・デジタルを活用したタイムリーな組合活動や各種取り組みの報告・情報発信

 →ホームページの作成と活用による情宣の具現化
 →グループ労連として定期的なホームページ掲載

⑤グループ内未組織企業の組織化および加盟組合における組織拡大の支援

・JFRおよびグループ内未組織企業経営へのアプローチ実施

(2)経営対策の取り組み

労働組合として、私たちの雇用・生活を確かなものにするためには、企業の業績回復と将来にわたる成長・発展が不可欠です。その実現にむけては、経営計画や方針に沿って、戦略・諸施策が着実に実行されることが重要と考えます。グループ労連としては、経営に対するチェック機能を働かせるとともに、グループ経営に対して、現場の状況や実態・課題、組合員・従業員の声や思いを適切に伝えていくというパイプ機能を果たしていきます。

①グループレベルでの戦略・施策の推進にむけた取り組み

・中期経営計画・年度経営方針の実現にむけた各種取り組みの進捗や成果・課題等についての労使情報共有および認識共有

 →JFR労使懇談会の適時開催による労使の情報・認識共有
 →中期経営計画・年度経営方針に関するJFR経営企画部との労使事務局開催

・グループレベルの取り組みにおけるグループ各社の現場実態・課題の把握と反映

 →グループ労連会議体での加盟組合との情報共有

②加盟組合における各社経営課題や現場課題の解決にむけた取り組み

・各社における労使協議・課題解決の実践にむけたフォロー・サポート

 →グループ労連四役や事務局による各加盟組合の執行委員会への参画
 →加盟組合執行部を対象とした経営対策の取り組み強化や現場課題解決推進へむけたセミナーの検討・実施

・グループ労連と各社経営との認識共有・意思疎通

 →グループ労連四役による加盟組合各社の経営者訪問

(3)総合福祉の取り組み

組合員・従業員一人ひとりが、自身の役割・職務にまい進するためには、「やりがい・働きがい」の視点から、賃金をはじめとした労働諸条件の改善・向上にむけて、取り組みを進めていくことと、「安心・安全」に働ける環境の整備が大前提と考えます。グループ労連としては、各加盟組合が主体となって各社労使での取り組みがすすめられるよう、適宜必要なサポートをおこないます。また、グループレベルでの人事諸施策や健康増進・福利厚生に関する取り組みについては、グループ労連としてその方向性や具体的な内容について確認し、働きやすい環境整備をはかります。

①加盟組合における賃金・総合労働条件交渉や人事諸制度に関する通年労使協議のサポート・フォロー

 →内外環境や春闘情勢等をふまえた「春の交渉に臨む基本姿勢」の策定・周知
 →グループ人事主体の制度変更や法改正・社会動向についての情報収集と加盟組合への情報提供・研修機会設定の検討
 →法改正や社会動向をふまえた必要な取り組み状況のグループ労連四役・事務局による適時確認とサポート

②働く環境・基盤整備にむけた取り組み

・時間管理に関する制度・仕組み・ルールの遵守・徹底にむけた取り組みの推進

 →働き方に関するアンケートの実施と結果をふまえた各社労使における課題解決へむけた取り組みの推進

・働きやすい環境整備にむけた取り組み

 →会社が実施するハラスメントアンケート結果の検証と結果をふまえた取り組みの検討・実施
 →加盟組合におけるカスタマーハラスメントをふくむハラスメント対応のフォロー・サポート
 →人財戦略に関するグループ人財政策部との労使事務局開催

・グループ労連の情宣を通じた組合員・従業員への意識啓発

 →適正な働き方やハラスメント撲滅の啓発、心身の健康維持・増進など

(4)産業別労働組合活動・対外活動の取り組み

産業の魅力向上および業界内で働く者の地位向上にむけて、業界レベル・社会全体での課題解決に取り組みます。また、執行委員会等で適時報告や、グループ労連広報紙等の情宣を通じて、組合員・従業員の産別活動への理解促進に努めます。

・UAゼンセン・連合への参画および運動・活動への参加

 →UAゼンセン役員・委員の輩出
 →UAゼンセンの社会運動への内容をふまえた参画

・流通業界・産業レベルの課題解決、働く者の地位向上へむけた諸活動の参画

 →UAゼンセンの政策実現にむけた支援・協力

・産別活動についての組合員・従業員の理解促進

 →グループ労連の情宣を通じた産別活動の紹介・報告

・社会貢献活動への参画

 →連合やUAゼンセンなどが紹介・斡旋する社会貢献活動への参画

・他労組・他団体等との情報交換

 →外部労組・他団体からの情報収集を目的とした機会の設定・実施

以 上

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